靴をきちんと履いて歩きだすと、早苗がルンルンとまるで鼻歌でも歌いだしそうな様子でついてきた。


私の周りをうろちょろとしてみたり、小さい声で″ねぇねぇ″と囁いてみたり……。


私から話を振ってほしいのか、あなたは。


苦笑しながらとりあえず教室までは何も言わずに歩いた。


教室に入って、かばんを置いて落ち着くと、ふーっと息をついて早苗に向き直る。


ちなみに、私の机の付近でも、うろうろとしていた。


「それで?昨日どうだったの?」


私の言葉を待っていましたと言わん顔で、早苗は目をきらきらとさせた。


「聞いてくれる!?」


なんて言いながら、話す気満々だし。


「講義2つ分開けてあげるから」


恩着せがましく笑いながら、本当は今日は午後からしか講義は入れてない。


もちろん、早苗のデートの予定がわかって開けたわけじゃなく、たまたまだけど。


早苗も午前中は最後の時間にしか講義を入れてないみたいで、私たちは大学を抜けて近くの甘味屋さんへ行くことにした。