思わぬ言葉が聞こえて驚いて上を向いた私の目に、頬をほんのり赤く染めた薪坂さんの顔が映った。
「なんていうかさ……。
入院中お見舞い来てくれた人いなくて、俺なんかそれくらいの存在なんだよなってネガティブになってたとこあったから…」
ちょっと寂しそうな表情を浮かべた薪坂さんの話に、思わずどきっとした。
薪坂さんが入院している間に、私はいったい何をしてたんだろう。
薪坂さんが事故にあったのは、私と約束をしたからなのに、
当の私はお見舞いにも行かず、如月さんや卿渓さんとデートして。
″俺、恋歌ちゃんのこと好きだ″
″また、会えるかな″
なんだか浮かれてた。
「…ごめんなさい……」
「え?なんで恋歌ちゃんが謝るの?」
「だって…私のせいなのに、お見舞いにも行かないで___」
「違うよ。
事故ったのは恋歌ちゃんのせいじゃないし、お見舞いは来れなくても、今日こうやって来てくれたじゃん。
俺は、それだけで十分だから」
変わらない、優しい笑顔を見せてくれた薪坂さんに、なんだか涙が溢れて止まらなかった。

