いろいろ思いを馳せていると目の前でパンと音がした。
「わっ!!」
薪坂さんが私の目の前で両手を叩いた音だった。
「どうしたの、ボーっとして」
「あ……すいません」
薪坂さんが変なこと言うから…つい考え込んでしまった。
オレンジジュースを飲みほして、ふーっと息をつく。
「ねぇ。なんで今日迎えに来てくれたの?」
あくまでも冷静な聞き方だけど、目はなんだか輝いてるように見える。
「なんでって……。
薪坂さんのご両親、オーストラリアで、お姉さんだって忙しいでしょうし」
理由になってないのだろうか。
薪坂さんはまだ納得のいかない表情のよう。
「でも、恋歌ちゃんが来てくれることないんじゃない?」
え……。
これって、薪坂さんにとって迷惑だったってこと?
「……すいません…」
シュンとうなだれた私を見て、珍しく薪坂さんが慌てる。
「あ、いや……。迷惑だったとか、そいういうんじゃなくて…」
こっちが驚くくらいの慌てっぷり。
「ほら、あの……。すごい嬉しかったから。恋歌ちゃんがちゃんと俺のこと気にかけてくれたことが」

