注文したオレンジジュースとコーヒーが運ばれてきても、薪坂さんは私を見つめっぱなし。
なんか恥ずかしくなってきて、薪坂さんを視界に入れないようにしてオレンジジュースを飲むけど、視線はビシビシ突き刺さる。
何を話すわけでもないし、私が問いかけても″別に″としか答えてくれない。
優しい笑みを口元にたたえて、凛々しい目元で私を見据える。
「あの……コーヒー、冷めますよ?」
「うん」
とだけ答えると、初めて私から視線を外し、コーヒーを飲みほした。
目が点になってる私を見て、クスっと笑うとまた頬杖をつく。
「なんか恋歌ちゃん……かわいくなったね」
今度はそう長々と見つめることなく、口を開いた薪坂さんだけど、その発言……。
「そんなこと……」
点になった目がさらに点になる。
「ううん、ほんとに。
もしかして……恋してるの?」
なんだかちょっと悲しそうな表情をして、また驚きの発言。
「こ、こ、……恋!?」
大きな声が出そうになるのを必死でこらえて、薪坂さんを凝視する。
「違うの?」
キョトンと首をかしげて、なんとも愛らしい表情。
「ち、違いますよ!!……恋なんて…」
完全否定しきれなかったのは、自分の中でもわからないから。
本当は、誰かに恋してるのかな、自分……。

