「……。
ごめん…なさい」
小さく呟くように言った彼女だけど、その言い方と姿勢で本当に反省してるんだっていうことは伝わった。
「……別に、怒ってないけど」
なんてさっきとは打って変わって優しい口調で伝える。
彼女はパッと顔をあげて、本当?と目を輝かせた。
「でも。…もう、あんなことしちゃダメだよ。
自分を振っていなくなった男は、もう二度と戻ってこない。
なら、その男よりもっともっといい男捕まえるしかない、じゃない?
男の新しい彼女に嫉妬して、恨んで、嫌がらせするより、自分磨いた方が得だよ。
いつまでも過去に捕らわれてあとで後悔するより、前向いて進もう……ね」
分かったようなこと言ってはみたものの、男性経験なんかほぼないのに。
でも、最後の言葉はほぼ自分に対してのもの。
春瀬に襲われかけたことをいつまでも引きずって、男はみんなそうなんだって怖がって、
結局逃げてただけ。
それじゃいつまでたっても前に進めないわけだよ。
過去なんか振り切って、絶対振り向かずに、前だけ見て進もう。
こんな私を好きだって言ってくれてる人がいるんだから、その人たちのために前を向こう。
こんな私をどんな時も応援してくれる人がいるんだから、その人のために前に進もう。
強くならなきゃ。
明るい未来のためにも、幸せな未来のためにも。

