授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響き、呆然と突っ立っていた私たちはハッと我に返った。
「そっか。私が買いに行けばいいのか」
このチャイムで冷静さを取り戻した早苗が、ポンと手を叩いた。
「あ、そういう…ね」
なんかさっきまでのが嘘だったみたいにほんわかとした空気が流れて、2人で顔を見合わせて笑った。
「じゃ、お願い」
「なんかいいの見つけたらメールするから」
早苗は早速靴を履きかえて、駅近くの靴屋さんに走って行った。
「……楽しそ」
さっきあんなことがあったけど、これからのことが楽しみなのか、早苗の足取りは軽かった。
ずたずたになった靴を見て、私はフッと笑うと靴を手に取って教室へ戻る。
「え、恋歌それ…」
教室に入ると友達が何人か私の靴を指さした。
「あぁ…。ちょっと腹立ったから切っちゃった」
ほぼ冗談に聞こえるような感じでおどけてみせた。
「え、なにそれ」
ってみんな笑ってくれたから、かばんに入っていたビニール袋にくるんでかばんに戻した。
……みんな単純。

