「じゃ、いったい誰だっていうのよ」
涙をぬぐって立ち上がり、強気で突っかかってきた。
「それは……」
チラっと早苗を見ると、早苗の目には恐怖の色が浮かんでいる。
ここで早苗だって言っちゃうと、きっと小柳さんは早苗に襲い掛かる。
「それは、言えない。……言わないよ」
「どうしてよ!?」
小柳さんは私の肩を揺さぶって、何度もどうしてと叫んだ。
「……もし、城西さんの本当に好きな人が分かったとしたら…。
小柳さんはどうするの?」
私が静かに問いかけると、小柳さんの動きは止まった。
「どうするって……」
「また、こういうことするの?」
厳しく詰め寄ると、彼女はちょっと後ずさった。
「自分の目で確かめればいいと思う。だけどっ。
こういうやり方はよくないよ。こんなことしたって、城西さんが小柳さんとこ戻ってきてくれるわけじゃないでしょ!?
こんなことしたって、城西さんに小柳さんの思いは伝わらないよ?」

