城西さんと早苗の仲を取り持ったのは確かだけど、そのことを小柳さんが知ってるわけがない。
「……理由がない、ですって…?」
早苗と二人で佇んでいると後ろから低い声が聞こえた。
驚いて振り向くと、声と同じく怖い顔をした小柳さんが立っていた。
「小柳さん……」
「優貴恵……」
私と早苗の声が重なって、小柳さんの顔が歪む。
「宮沢さん……あなた、どの面さげてそんなことが言えるのよ!?」
だんだんと声が大きくなって言って、小柳さんは目に涙を溜めている。
「ちょ…小柳さんっ!?どうして、私にこんなことするの…?」
ちょっと躊躇いがちに聞いてみると、小柳さんはハーッとため息をついた。
「あなた。何もわかってないのね」
キッと私をにらんで、小柳さんは私に詰め寄った。
「あんたは私の大事な真咲を奪ったのよ!! それでいてなに!?
真咲の他に、如月くんとか卿渓くんとか薪坂くんとかともデートして!!
このアマっ!!ふざけんじゃないわよっ!!
なんで……どうして……私が真咲に振られなきゃならないのよ……」
小柳さんは目から涙を溢れさせ、私にすがりつくようにして私の肩を叩き続けた。

