でも、本当にそう。


恨まれるのは私じゃなくて、早苗であるべきなのに。


「昨日の帰りもそうだったんだよなぁ……」


小さく呟いた声は早苗にばっちり聞かれていたようで。


「なに、なにが!?」


顔を近づけて、耳元で大声を出す。


「うるさっ!!…いやさ、昨日城西さんとのごはん帰り、電車で小柳さんに会ったんだよね」


あの時の状況を思い出しながら、早苗に話を続ける。


「近づいてきて一言、″真咲とどこ行って、なにしてたの″って」


「え、なにそれ……」


これだけの言葉でも、きっと少しの怖さは伝わる。


「びっくりしちゃったんだけど、″映画見てきただけ″って答えたら、いなくなったの」


「怖ぁ……」


これぞまさに絶句、という顔をして、早苗は震える真似をした。


「ね。めっちゃ怖かったよ」


「ってかそれってさ、優貴恵がまだ城西さんに未練あるってことじゃない?」


やっぱりそう考えるよね。


「私もそう思ったの。……だから、やっぱり恨まれるべきは早苗なのよね」


……結果、もとに戻っちゃった。