「恋歌、なんか優貴恵に恨まれてんの?」
なんて早苗は笑いながら言うけど、私にもわからない。
「恨まれるなら早苗なのにね」
「え、なんで私」
早苗、気づいてないんだ……。
ちょっと考えればすぐにでもわかりそうなもんなのに。
講義室に入って、真ん中の方の端っこに並んで座る。
「思い当たる節、ないわけ」
「優貴恵に?……ないなぁ…」
本当にわかってないんだ。
「今日、早苗がデートするのは?」
「城西さんだよ」
なんだか喰い気味に答えが返ってきた気がするのは気のせいかな。
「その城西さんで思い当たることない?」
「……あっ!!」
ちょっと考えてる風だった早苗がいきなり大声で人差し指を立てた。
「やっとわかった?」
半笑で聞き返すと、早苗は恐怖に満ち溢れた表情をする。
なんて大袈裟な。
「どうしよう……。私、優貴恵に殺されるかも」
なんていいながら顔はおどけてるんだけどね。

