でも、それはあり得ないことじゃない。


城西さんにほかに好きな人ができたっていう理由で別れてるんだから、小柳さんが城西さんに未練を抱いてても仕方ないのかもしれない。


だからって、あのセリフは衝撃的だけど。


「恋歌?どしたの」


気づいたら目の前に早苗がいて、びっくりして椅子から立ち上がる。


「そんな驚かなくても……」


「あ、ごめっ…。っていうか、終わったの?」


「とっくに終わってる。次、一緒でしょ、講義。早く行こう」


もうそこまで進んでたなんて。


そう言われてみれば、みんなもう教室にいない。


「そう…だね、行こうか」


教科書を持って、講義室へと移動する。


早苗と喋りながら歩いていると、思い切り肩に何かが当たる感触がして、振り向いてみると小柳さんと肩が当たったみたい。


「あ、ごめんっ。だいじょう___」


私の言葉が言い終わる前に、小柳さんはすごい目をして遠ざかってしまった。


「なにあれ。優貴恵ったら感じ悪」


早苗が遠ざかっていく小柳さんを見て呟いた。