顔を赤くしたまま、そのくまを眺めている早苗を、ニヤニヤしながら眺める。


「なっなに…」


そんな私に気づき、早苗はますます顔を赤くする。


「好きなの、城西さんのこと?」


「そっ…そんなんじゃないよ……」


一回どもるところが怪しい…。


「うそはダメですよ、早苗ちゃん。好きじゃないけど、気になってはいるんでしょ?」


「……。はい…」


小さくコクンと頷いた早苗の頭をすごい勢いで撫でる。


「ちょ、やめて!!恋歌っ」


お互い笑いあいながら大学の校内に入っていく。


「そっかぁ。早苗にも春が来たんだねぇ」


「うるさいっ。そういう恋歌こそ、どうなのよ」


「どうって…」


人のことは散々言うくせに、自分のことになると真っ平。


自分の気持ちも、なにもかもわからないよ。


恋しなきゃなとは思うけど、恋のしかたもなにもかも。


「あの3人、イケメンだし、頭いいし、学校でもモテるんだから。何も不足はないと思うけど?」


立場逆転で、今度は私が早苗に攻められる番。