「今日はありがとね」
ご飯も食べ終えて、駅へと歩きながら、城西さんは微笑みながら言った。
「いいえ、こちらこそ。早苗のこと、頑張ってくださいね」
同じように微笑み返しながら返事をする。
「うん。恋歌ちゃんもね」
なんだか意味ありげな笑みに変わった。
きょとんとした顔をしていると、城西さんは納得したように頷いた。
「秀弥も心次も薪も、恋歌ちゃんを好きになるの、わかる気がする」
「え……?」
「うちの学校じゃ、恋歌ちゃんは有名人だよ?」
言いながら城西さんは、クスクスと笑う。
「何しろお金持ちの秀弥に、超プレイボーイの心次、それに多才な薪。自分で言うのもなんだけど、俺を入れて4人超モテるからね」
あ、その4人って、仲良しだったんだ。
合コンで見たときには、そんなことないように見えたんだけど。
「そんな4人のうち3人が好きな人だもん。広まらないわけないよね」
相変わらず城西さんは、笑ったまま。
なんかもう……、驚いたとしか言いようない。
自然と足が止まってしまった私を見て、城西さんも足を止める。
「そんな驚くと思わなかった」
相変わらず笑ったままで。

