なんだかにこやかにレジで会計を済ませると、ちょっと後ろに立っていた私に微笑みかけた。
「行こうか」
そう手を差し伸べて、城西さんは微笑んだ。
「あ、はい…」
反射的にその手を掴んで、お店の出口に向かって歩き出した。
「……それ、どうするんですか?」
お店を出て、少し歩いたところで、城西さんが大事そうに抱えている袋を指差す。
「え?あぁ。……はい」
城西さんは掴んでいた手を優しく離して、袋の中からピンクのバンダナをした白くまを取り出して、私に向かって差し出した。
「え、私に……?」
「ん、まぁね」
…じゃ、城西さんとおそろってことになっちゃう……。
いやなわけじゃないけど、ちょっと戸惑いがあるのは確かで。
ありがとう、と小さく呟いてそのくまを見つめる。
さっきまで特にかわいいとも思わなかったくまが、今はとてつもなく愛しく見える。
ケータイを取り出して、くまをつけて見る。
「うん、かわいい」
「でしょ?」
城西さんは爽やかに笑って、また私の手をとった。
「いい加減、お腹減ったよね」
「そうですね」
ホント言うと、もうお腹減りすぎて死にそうなんだけど。

