店員さんに注文をすませて、上着を脱ぐ。
「ごめんね、急に電話とかして」
さっきまでのハイテンションから一転して、落ち着いたトーンでそう切り出した。
「いいえ。大丈夫ですけど」
ぎこちない笑みを作りながら、改めて城西さんを見つめる。
合コンで会ったときと、イメージが違う気がする。
小柳さんと別れたから、雰囲気がガラっと変わったのかな。
「今日ね、一緒に映画見ようと思って」
ポケットから映画のチケットを2枚取り出して、城西さんは優しく微笑んだ。
「映画…?」
「嫌い?」
「いえっ、好きです」
久しぶりだなぁ、映画なんて。
前はよく早苗と見に行ったりもしてたけど、最近は全然行けてないから。
「じゃ、行こうか」
私が注文したコーヒーを飲み終わったタイミングで、城西さんは立ち上がってそう言った。

