そろそろ空も暗くなってきたから、バス停を目指す。
時刻表を見ると、15分ほど待たなきゃいけない。
2人でビルの壁にもたれて、バスを待つ。
何もしないで15分ってなかなか長い。
しかも、この時間になると、だいぶ風が冷たくなる。
昼間にあれだけ晴れてても、夜はやっぱり寒い。
それに加えて薄手の服、着てきちゃったからちょっと寒い…。
「えっ……」
「寒いしょ?」
少し身を縮めてた私を気にかけて、肩を抱いてくれた卿渓さんの優しさに、ちょっと胸が高鳴った。
「いえ……」
否定はしてみたものの、腕から逃れようとはしなかった。
逆に、自分からちょっとだけ、卿渓さんの方に寄った。
それからバスが来るまでの間、一言も喋らずに、寄り添っていた。

