デパートの中をぶらぶらして、色々見て回った。
外に出て、空を見るともう大分茜色。
卿渓さんは、こんなデートでいいんだろうか。
デートとも言えない、ただ友達とぶらぶらしに来ただけ、みたいな。
「お腹減らない?何食べようか」
茜色の空を見上げながら聞く卿渓さんの言葉も、右から左へ。
「恋歌ちゃん?どうかした?」
「あ……あの…楽しいですか?」
「え?……何が?」
キョトンとした顔で、聞き返してくる。
「あの、だから……。今日、楽しかったですか?」
こんなこと聞いてる自分が、なんか恥ずかしくて、卿渓さんの目を見れない。
俯いて、卿渓さんの顔を見ないようにする。
卿渓さんは、ちょっとの間驚いたように立ち尽くしてたけど、私をギュッと抱きしめた。
「えっ、卿渓さっ…」
「決まってるじゃん、そんなもん」

