「あの、私……こういうの、ほとんど初めてに近くて」
外に出てて、ぶらぶら歩きながら私は言った。
「あぁ、全然気にしないで。……でも、びっくりしたなぁ」
「え?」
明るく笑いながら言う卿渓さんの言葉にちょっと戸惑う。
「だって、恋歌ちゃんそんなにかわいいのに、デートしたことないなんてさ」
「したことないって言うか、高校時代からしてないんで、男の人に払ってもらうっていうの、なくて」
「あぁ、なるほどね」
なるほど、ともう一度言って納得したように深く頷く。
「それよりさ、どこ行こうか?」
そういえば、まだ決めてなかったんだっけ。
「えぇ……。とりあえず、バス乗りますか?」
「そうだね。隣町にでも出ようか」
そう決めると、バス停まで歩き出す。
街中だからバス停もいっぱいあるし、隣町を通るバスは結構たくさんあるから、どこで待ってても構わないくらい。
この町には、あんまりショッピングモール的なものとか、デートで行けそうな所なんてそうそうない。
だから、買い物をしたりするときは、隣町に向かうことが多い。

