卿渓さんと会うことになっちゃた。


でも、私が自分自身で決めたこと。


そうだよね。
早苗とも約束したんだもの。


少しでも、男の人を好きになれるように努力するって。


こうなったら仕方ない、覚悟を決めて卿渓さんに会おう。


……一大事だな、こりゃ。


「よかったぁ。じゃ、どこで会おうか?」


ホントすごく楽しそうに喋る。


チャラいイメージしかなかった卿渓さんの無邪気な感じに、つい笑ってしまった。


「え、何で笑うの?俺なんかおかしいこと言ったかな?」


「あ、いえ。そういうことじゃなくて。すいません。……明日、どうしましょうか?」


会う時間と場所、それから他愛のない話をして、電話を切った。


前までの私なら、こんな約束初めからしないし、もししたところですごく落ち込んだような気分になってた。


でも今は、いつもと同じ気分だし、むしろちょっと楽しみになってたりしてる。


どうなってるんだろう、私。


男嫌いが治ってきたってことなのかもしれないけど、でもこんな急に?


とりあえず、明日卿渓さんに会わなきゃいけないことは確か。


悩んでたって仕方ないよね。


そう決心して、私は着替えて、明日に備えて寝ることにした。