掃除を終えた頃には、夕日が沈みかけていて空は赤く染まっていた。
綺麗だなぁ、と上を見上げながらぼてぼてと歩いていると騒がしい複数の声がした。
男が数人、言葉にならない声を上げている。
何が起きているのかは、なんとなくわかっていた。
喧嘩だ。
行かないほうがいい。
けれども反面、好奇心はどんどん膨らんで。足はどんどん進んで。
きっと私は刺激が欲しかったのだと思う。
「―――」
緋、朱、赤、あか。
それは目を見張る緋で。
血が綺麗だと思える私は、狂ってますか。
どうしようもなく見とれた。
目が離せない。
喧嘩は複数人対一人のようで、数分だったか、数秒だったか。
あっという間に終わり、その場に一人男が佇む。
綺麗だった。
緋が点々と付着していて。
金髪に、よく似合っていた。
「……ん?」
目があった。
色素の薄い、不思議な色。
すすき。黄金色。蜜のような色。