目の前にある、サラサラな髪を撫でてみる。 焦げ茶くらいの太い髪は、あたしの指を通り抜けていく。 「…ふふ。」 ニヤニヤしちゃうのはスルー。 カッコいいから仕方ない。 つい、頬を撫でて そこに静かに唇を当てる。 たまには、あたしから…ね? 起きてないから出来るんだけど。 唇を離すと同時くらいに、背中にある腕の力が強まった気がした。 言葉じゃないのに、こんなに胸を締め付けるのは 何なんだろう。 きっと啓飛を好きでいる限り、わかることはないだろう。 だから、一生わかることはないね。 .