敦が、あたしを抱き締めていた。 「…俺じゃ、ダメか……?」 「え…」 いきなり真剣な声を出す敦に 戸惑う。 人気のない木の下で、二人の吐息と鼓動だけが響いている。 「そんなに泣くなら…アイツはやめて俺にしろ… こんなときに言うのはズルいってわかってるけど…… まだ、好きだ。華のこと。 あのときから変わってない。」 そう言われ、抱き締められる腕の力が強くなる。 ……なんで そんな嬉しいこと言ってくれるの? .