あたしが隣の彼を見たときには すでに発車していた。 あまり見慣れない道を、颯爽と走る啓飛の愛車。 嗅ぎ慣れた匂いが、身体をリラックスさせてくれる。 「……ちょっと、眠いかも…」 「ハハ。本当にお子ちゃまだな? いいよ、寝てて。 着いたら起こすから。」 「……ん…」 優しいイントネーションに 目を閉じる。 啓飛の『起こすから。』と聞いたあとから、記憶がない。 王子様の囁きは 姫を目覚めさせる、より 姫を 眠りの世界に連れていく効果があるみたい。 .