表札を見ようとしたけど、掛けられてはいなかった。



呆然とする俺らに、親父たちが早くしろと急かす。



運転手だった人が、玄関のドアを開き、俺たちを招き入れた。


玄関に入ると、なにか、嗅ぎ慣れた匂いが鼻を掠めた。





「この家の匂い、…つっくんの匂いとすっごく似てる………」


「は?咲希…―――」





俺が咲希斗に聞き返そうとした時だった。





「来たみたいだな」


「待ってたよ。
いらっしゃい、紅蓮組、鐘田組、藍川組のみなさん♪」





廊下の奥からやってきた男2人を見て、俺らは固まったまま目を見開いてしまった。





「―――っえ…!?」


「……………っ!?」


「はっ…―――!!?」






廊下の奥からやってきた男2人とは、














…―――――――――――月夜と理人だった。










       黒蝶
  ‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ


      【完結】