「暁、この車、すごいね」
「…………俺たちよりも上の組ってことだよな」
「ああ。
だとしたら、数は限られてるが……」
数は限られてるとしても、そんな組には詳しくないからわからない。
行くまではわからない、っていうのが何かむず痒くて…、気持ちわりい。
「別の組って、どこなんだろう………?」
どこの組がわからないまま、車は進んで行く。
「あ、れ……?
このあたりって、黒蝶の地域じゃない?」
「………ほんとだ」
「…………あっ」
気づいたら、黒蝶の地域の中を車が走っていた。
そして目に入ってきたもの。
それは、………黒蝶の溜まり場だった。
黒を基調とした、紫色ね蝶が描かれた特攻服を身にまとう奴ら。
そして、同じ柄の旗が風で揺らぐ。
溜まり場は、俺たちよりも一回り大きく、そして存在感がハンパない。
黒蝶の下っ端と思われる奴らは、仲が良さそうにじゃれあい笑いあっていて、活気があった。

