航太side



「ひーまーだぁーっ!
憐慈、お前モノマネやれ!」


「はあ?!
嫌だね、すべったりしたら最悪じゃん!
そーゆう來希がやれよ」




今日は金曜日のお昼前。


本来ならば学校にいなきゃいけない時間帯なんだけど。

毎日学校に行く真面目くんは、残念ながら俺たちの中にはいない。


今いるのは青龍の溜まり場の幹部室。



ここ最近これといったトラブルもないし、黄狼も動きを見せない今。


平和だからいいんだろうけど、何もすることがなくて暇を持て余している。



來希は憐慈にちょっかいを出し、憐慈はそれにいちいち反応して、

いつもなら〝煩い〟と怒ってるけど、暇な今はその煩さがちょうどいい。




「つっくん、来ないよ〜。
航太、今つっくんがどこにいるか調べらんない?」





咲希斗は咲希斗で、さっきからずっと、つっくんって言いっぱなし。


月夜くんがいなくて寂しいらしい。

しかも、それをずっと俺に言ってくるんだ。







「流石に居場所はわかんないよ。
GPSつけてるわけじゃないんだから」


「つまんないー!
今すぐつっくん呼んでよ〜」


「咲希斗が電話すればいいじゃん」


「それが出ないのーっ!」


「なら俺が電話したって出ないでしょ」






俺が副総長かつ情報参謀だから、俺に言えば何だって調べられると思っているのか。


……そりゃ無茶だ。



いくら俺でも、そこまでわかるはずがない。