八木原の話しは、とても残酷な話だった。
――――…何から話せばいいかわかんねえ。
でも、これだけは言える。
俺は、クスリなんかやっちゃいねえ!
クスリを売ってたのは、…親父に言われたからなんだ。…―――――
親父、って八木原組組長のことか?
―――――…3ヶ月くらい前にお袋が倒れたんだ。
俺はお袋っ子で、小さい頃からずっとお袋にべったりだった。
お袋が倒れたって聞いた時は、心臓が止まるかと思った。
倒れた原因は、ガン。
すぐに手術しないとかなりヤバい状態だった。…―――――
ガン……。
―――――…でも、金がなかった。
いや、金なんてあることはあるんだ。
お袋の手術の代金を払う金額ぐらいは。
仮にも紅蓮組の傘下でトップクラスだったからな。
でも、親父が…っ。
〝その金は組のための金で俺の金だ、アイツのための金じゃない。
アイツがガンになったのはアイツのせいだ。
アイツがどうなろうと俺には関係ねえ。
好きで結婚したわけじゃない。
地位を上げるためには跡継ぎがいねえとなんねえから仕方なくしただけだ〟
って……。…――――
な、なんだ、それ…っ!!?
自分の妻が死ぬかもしれねえってのに、金出さずに放っておくなんて、……っありえねえ!!!

