藍よりハッキングが上手い奴はいないと思う。
「僕たちもね、こんなこと〝トモダチ〟に言いたくないの。
…でも、いい加減うんざりなんだよね。
あんだけハッキングがあったら」
「……なぜ、そんなにデータを隠したがる。
お前らも、…月夜も」
暁の鋭い視線が私たちに突き刺さる。
真剣な表情、瞳。
そんな暁を、…いや、みんなを見ると胸が苦しくなる。
「そんなに俺たちに知られたくない〝何か〟があんのか」
「さぁね。
でも、ない、とは言い切れない。
君たちもさ、人に知られたくないこと1つや2つくらいあるでしょ?」
「それはあるけど…。
でも個人データと何の関係があるの?
僕たちが知りたいのは、個人データなんだ。
どの家の奴なのかが知りたいだけ」
その〝どの家か〟が隠したいことだっつの…。
もし私が麗桜組の若頭兼次期組長だとバレたら?
きっと、私から離れるだろう。
いくらあの三人が組の跡取りだとしても、私は全国No.1の組の跡取り。
怖がられるに決まってる。
それか…、よそよそしくなるのか。
どっちかだ。
「お前らがどの家の奴か教えてくれるなら、ハッキングは止める」
「言わなくてハッキングを止める、っていう選択肢はないの?」
「ない」
「どうしても?」
「どうしても、だ」
迷う様子もない暁の瞳。
この様子だと、向こうが折れることはないな。