私の家につき、リビングにある椅子に座ってもらった。
「で、どうしたの?」
「うん…。
なんか、引っかかるの、あの店」
「引っかかる?」
「羚矢の話を聞いてから、ずっと…。
学生のみ記念品を差し上げます、ってとこに」
よく分からないといったような顔したみんな。
私は更に続ける。
「〝学生のみ〟って、おかしくない?
バーって普通、社会人とか大人の人のほうが行くじゃん?
学生なんてほとんど行く人は少ない。
なのに、なんで学生だけなのかな…って。
だったら普通は、大人の人だけってなるはずだと思うんだ」
「そういえば……」
「あの店…――、裏が絡んでると思う」
直感で、そう思った。
どっかのヤクザが、何らかの目的のためにこの店を開いたんじゃないか…―――って。
「確信はあるのか?」
「確信…、はないけど。
でも。
そんな感じがする。
だから、――止めた」
あのまま店に入ってたら…………。
きっと、危なかっただろう。