和志は、周りには冷たいくせに、
私だけには甘い。
「……って、まさか、和志が担任…?」
「そーだよっ!
よろしくね、月乃!」
「…あんだけバカだったのに教師になれるなんて、信じられないんだけど」
和志が学生時代、
テストでは必ず、最下位あたりをフラフラしていて、成績も最悪だったとか。
そんな和志が、教師?
「本当は教師なんかやるつもりなかったのに、観月がなるっつーから俺もなったんだ!
あれから、ガチで勉強したんだぜ?」
褒めて褒めて、と言わんばかりのカオ。
呆れながらも、頑張ったね、と伝えると、ニパァと嬉しそうに笑った。
ほんっと、前と変わらない。
「じゃあ、そろそろ行こうか。…月夜」
「あ、うん。
じゃ、観月また来るね」
観月に別れを告げ、
私たちは教室へと向かった。

