【完】トリプルスレット

「やっほ心空。こんな時間まで学校にいるなんて珍しいじゃん」


「え?そういう綾先輩こそ。野球部のマネージャーの仕事は夏で終わりじゃなかったでしたっけ?」


振り向いた先にいた綾先輩はジャージ姿で、カゴに入った野球ボールを運んでいるところだった。


「まあ、そうなんだけど……」


綾先輩はチラリと野球部のグラウンドを確認する。


綾先輩の視線の先にいたのは、今年の夏まで土根高校の野球部のピッチャーをつとめていた三先先輩だった。


確かプロ入りが決まったって、噂になっていた先輩だ。


「後輩達の練習に付き合うって三先が言うもんだからさ。一緒になって付き合ってたんだ」


綾先輩は少しだけ頬を染めながら笑った。


「えー。本当にそれだけですか!?」


「それだけだよっ!なによ!」


私はケラケラ笑いながら、綾さんをからかった。