【完】トリプルスレット

外にある水飲み場で頭から水を被った。

蛇口からあふれ出る水が私の頭をバシャバシャと叩く。


「いいんだ。もう辞めるんだ」


あんな悔しい思いをするのは、嫌だ。

私はやっぱり、人にチヤホヤされるのが好きなんだ。


体育やちょっとしたことがある程度出来て、人よりちょっと上だったらそれでいいじゃん……。




私は水を浴びながら開き直っていた。

これでいいんだ。

今までだってそうしてきたんだから。


顔を上げ、両手で髪の毛の水を飛ばしていたその時だった。


「心空?」


聞き慣れた声。

私はその声に反応して、声をかけられた方へと振り返った。


「綾先輩!!」


そこにいたのは、中学の時、陸上部の先輩だった綾先輩だった。