【完】トリプルスレット

「はい……」


訳が分からなかったが、私はそのまま内野コーチについていった。


「お前、結構動けるじゃん」


外に出ると、内野コーチが振り向き、私に優しい笑顔を向けた。


「え!?」


驚いた。

いきなりの褒め言葉だったから。


予想外の言葉。

だけど悪い気はしない。


心の中では当たり前じゃんと思ってる自分がいた。


「けど」


有頂天になっている私を突き刺すような言葉。

内野コーチの顔は、さっきの優しい笑顔とは逆の厳しい表情。


「きっと今から絶望するから」


内野コーチは自分が持っていたバスケットボールを私にフワっと投げてよこした。