「蒼、もう夕ご飯だし帰らない?」



私は蒼を抱っこしながら、聞いた。



「ヤダッ!まだ帰らないっ!もっと練習しないと、父ちゃんに勝てないもん」



蒼は体をよじらせて私の腕から抜けると、下に落ちていたボールを拾い上げ、またドリブルをつき始めた。


そんな蒼の必死な姿を見て、がむしゃらに光明に挑んでいた自分を思い出す。



「もう…そっくりなんだから」



ここのリングはまだまだ蒼には高くて、ボールがリングに当たらずに落ちてくる。


それなのに蒼はそれを拾って、何度も何度もシュートを繰り返す。


届かない場所に必死に食らいついているその姿に、私は幸せが溢れてくる。