【完】トリプルスレット


「ココちゃん!とにかく、ハンズアップ!声出してプレッシャー」



やばい…愛都の声、だんだん遠くなってくる。

目の中に汗が入ってしみる。



「ハア…ハア……」



自分の息遣いって、こんなに荒かったっけ……?



自分の息をする音しか、私の耳には届かなくなっていた。



8番はトップからサイドにドリブルを移動した。

私はそれについていくのがやっとだ。


足が細かく震えていて、腰を下ろしてディフェンスが出来ないほど、私の体力は限界だった。


8番はサイドまでくるとトップにいた4番にパスをした。


残り時間は16秒。