【完】トリプルスレット


残り時間38秒。

山城実業ボール。


相手チームの8番の前に回り込んでディフェンスをする。

ジックリ攻め込んでくる8番。

時間がどんどん無くなる。



「心空!声出して、プレッシャー!」



友梨の声がベンチから私の耳に届く。



「ココちゃん!」



愛都の声も。


私、泣きそう……。



「ハア…ボールう!!」



私はハンズアップして、8番にプレッシャーをかける。



「時間ない!マンツーマンだ!」



黒さんからの指示がコートに届く。



ダムダムダム……



8番のドリブルが続く。

ダメだ、このままだと時間が……!


残り時間30秒。


私は我慢が出来なくなり、8番のボールをカットしようと、飛び込んだ。


しかし、



ダダンッ!!



8番は、私の動きを読んでいたかのように、左に素早くドリブルを切り替え、ドライブインしてきた。