「あのな、宮瀬」


「はい」


「お前本当に勝ちたいって思ってる？優勝したいって思ってる？」


「……」


答えられなかった。


「遊びじゃねんだ。明日から無理なんて言葉は使うな。やるんだ」


内野コーチは私をギロリとにらみ見下ろすと、その場を離れていった。


ムカムカが悔しさに変わる。

私はギリっと拳を作って耐えた。


「心空、ごめんね」


友梨が私の拳にそっと手を当てて、顔を覗き込む。


「内野コーチ、悪気はないと思うの。勝ちたいって思っているのを心空に伝えたかっただけだと思うんだ」


「そうだとしても、あの言い方はないよ！あーっ！腹立つ！私、もう帰る！」


私は体育館脇に置いてあったスクールバッグを持ち、体育館を出ようとした。


「なんだ、帰るのか？」


内野コーチの横を通り抜けようとした時、内野コーチに呼び止められた。