【完】トリプルスレット

嫌な予感がするって、こういう時のことを言うんだと思った。

胸がザワザワして、時が進んで欲しくないと願ってしまう。


5分・・・10分・・・・・・。


時計ばかり気にして、何も手につかなかった。


私は体育教官室につながる階段下で奏大さんが出てくるのを待った。

ポツポツと人が消えていく体育館を見つめていると、取り残されていくような気分になった。


いつもなら最後まで残っていても寂しくなんてないのに。


「心空、そろそろ帰ろうか。電車来ちゃうよ?ほら、荷物持ってきた」


着替えを終えた友梨が、私を迎えに来た。


「荷物持ってきたって・・・俺に持たせてるくせにぃ」


友梨の隣には不満げな表情で、重そうに私のスポーツバックを抱える愛都。