【完】トリプルスレット

そんな日々が続いて、雪解けが進む3月。


思いがけない人が体育館にやってきた。


「あ、心空ちゃんじゃん。ちわっす」


裏口の扉がガラリと開き、入ってきたのは、内野コーチの同級生の奏大さんだった。


「こんにちは」


私は奏大さんにペコリと頭を下げた。


「練習終わった?」


「はい、たった今」


「そっか。あれ?光明は?」


奏大さんはそう言って、辺りをキョロキョロと見渡し始めた。


「今日は来てませんよ?」


「あ、そっか・・・あいつまた・・・まあいいや。黒さんはいる?」


「はい。まだ体育教官室にいますよ」


「そっか、ありがとう」


奏大さんはフワっと優しく笑うと、黒さんがいる体育教官室へと向かっていった。