【完】トリプルスレット

私は今まで相手がどうしようと自分の感情は変わらなかった。

淡々と自分を貫けた。





だけど、内野コーチは・・・内野コーチだけは違う。


内野コーチの動作や気持ちに敏感に働くんだ、自分の感情が。




きっと好きになるってこういうこと。



体育館の窓からそっと外を覗いた。

内野コーチは懸命になって、車から雪を降ろしていた。


「坊主だから寒いだろうな・・・・・・」


雪がフワフワと揺れながら内野コーチの頭に降り積もる。


「私も好きですよ」


私は内野コーチにそっと呟いた。