「好きだよ」
内野コーチがじっと私を見つめた。
「な、なんですか。そんなマジな顔しないでくださいよっ!じゃあ急いでるんでしょ?私出ますからっ!お疲れ様でした」
「プッ。おお。お疲れさん」
私の慌てふためいた顔を見て笑う内野コーチは、どこか勝ち誇っているような気がした。
体育館の裏口から、逃げるようにして外の空気と一緒に中に入り込んだ。
ドクッドクッドク
唇にそっとふれる。
まだ内野コーチの唇の柔らかさが残っているような気がした。
頭の中についさっきしたキスが走馬灯のように蘇ってきてやけに恥ずかしかった。
きっと私は内野コーチのことが好き。
ていうか、絶対好き。
愛都に対しての気持ちとは明らかに違う。

