ッキュッ!!
花さんのバッシュのゴムが、力強く床に擦れる。
「あ、ちなみに先に10本決めた方が勝ちな。負けた方は夜飯おごることー」
「何それ!あー・・・負けらんねえ。花あ、パスッ!!」
奏大さんは、フェイントをかけて内野コーチを少しだけ離すと胸元に手を当て、花さんにパスを求めた。
花さんはその一瞬の隙を逃さず、奏大さんにバウンズパスを出した。
「花、反対側に切れて!」
「オッケー!」
花さんは、奏大さんの言葉に従ってコートの左側へと走った。
「おーっし。久しぶりに光明と一対一だ」
「おお。負けねえから、来てみろよ」
奏大さんは楽しそうにニコリと笑うと、強引にゴール下までドリブルをねじ込んできた。

