【完】トリプルスレット

思わず声が出てしまった。

愛都は大きな内野コーチの体に耐えられず、フラリとバランスを崩したのだ。


「くそっ!」


愛都はよろめいた体のバランスを立て直すように、ドリブルをしながら素早く一歩下がって、内野コーチとの距離をあける。


「へー。愛都当たり負けしなくなったじゃん」


友梨は関心したように頷いた。


「そうなんだ」


「うん。総体の時なんかはちょっとした接触で、すぐヨロヨロってしてたんだけどね」


「へえ・・・・・・」


内野コーチと愛都に視線を戻す。


愛都はダムダムとゆっくりドリブルをつきながら、息を整えていた。