【完】トリプルスレット

着替えを終えて、内野コーチが待つ体育館に足を運んだ。

ガラリと体育館の扉を開けると、内野コーチがシュートを黙々と打っていた。

私が体育館の扉を開けた音にも気づかない。



私はその姿に見とれ、しばらく眺めていた。


ぶれることなく、クルクル回りながらゴールネットに吸い込まれていくボール。


「内野コーチ」


「お、来たか。帰るぞ」


内野コーチは床に転がるボールを拾い上げた。

私は小走りで内野コーチに近づいた。


「内野コーチ。あの、内野コーチは試合出ないんですか?」


「いきなりなんだよ。なんでそんなこと聞くの?」


「いえ・・・単純に内野コーチがプレーしているところを見てみたいなって・・・それだけです」


「んー。それは無理だな。俺はプレーヤーとしてバスケしないって決めてここに来たわけだし」