【完】トリプルスレット

「心空!トリプルスレット!出来てないぞ!」


「はい!」


その日の内野コーチは、いつもよりも数倍気合いが入っていた。

特に私に対しては厳しかった。


練習試合中にも、どんどん指導が入る。


内野コーチの指導が入るたびに、悔しい気持ちになるけれど、嬉しさのほうが大きかった。




内野コーチが私を見てくれて、私のバスケットの技術が上達することを望んでくれている。


そのことが恥ずかしくなるくらい伝わってくるのが、手にとるように分かった。


「ナイスシュート心空!」




ほら、こんなに満たされる・・・・・・。



速攻でシュートを決めた私に内野コーチが手を差し出した。

私は差し出された手に、自分の手のひらをパチンと合わせ弾いた。