「昼休みになるといつも体育館で練習してただろう?」


黒さんが優しい笑顔を浮かべる。


「はい・・・・・・」


黒さんが私の知らないところで、私を見ていてくれていたと思ったら、なんだか心がポッと暖かくなった。


黒さんの言葉は、いつも私に自信をくれる。


バスケ部の部員達は、どんなに怒鳴られていても黒さんを慕っている。

きっと、慕われる理由はこういうところなんじゃないかと感じた。


「まあ、座れ。呼び出したのは少し話しをしたかったからなんだ」


黒さんは、コーヒーメーカーからコーヒーをトポトポとカップに注ぎ、私をソファーに座らせた。


「昨日、内野から聞いたよ。明日から練習に戻るって」


「はい」


「一体宮瀬はどんなマジックを使ったんだ?俺がいくら言ってももう辞めるって聞かなかったのに」


黒さんは、ハハっと苦笑いを浮かべた。