そんな私を、苦悩の日々から
伊吹が連れ去ってくれた。

貴方は、自分で道を切り開いて
歩んでもいいのだと

私に教えてくれた。

あの、眠らない街で
伊吹と芳野と過ごした日々は
本当に短かったけれど
私の人生の中で、最も
重要な時間だった。

私の転機となった、大切な時。

そこは、私が初めて
心から安らげると思えた場所

そして、その場所で私は
芳野に出会い
自分以外の誰かに
こんなにも惹かれること

恋心なんて通り越して私の中に
踏み込んでくる

唐突な愛があることを知った。

でも、その愛は、一方的な物。

『お前に愛はやれない』