悪性腫瘍では無かった為に
化学療法も行う事は無く
腹部に傷口はあるものの
私は、普通に生活を送っていた

ただ一つ、子供を授かる事が
できない以外は・・・

娘を伊吹に委ねると決心した後
私の心は、その事に囚われて
前へ踏み出す事ができないで
いた。

本当に、これでいいの?

私は、わたしに問いかける。

本当に、これで・・・

答えが出たはずの問題に
私は、今も苦しむ。

かと言って、家の中で
暗く過ごしていては
芳野を苦しめてしまう。

私は彼の前では、その悲しみを
必死に隠していた。

ううん

上手に隠せる訳が無い・・・

きっと、芳野は
気づいていただろうけれど
大きく広い心で、私の全てを
受け止めてくれていた。