「・・・それ、着ろよ」

「ああ」

伊吹は、手に持っていた
白いシャツを纏う。

「昨夜、繁華街で偶然
 カヤノに逢った
 アイツに、朝まで
 慰めてもらったんだ」

芳野の顔色が変わる。

「お前・・・アイツの気持ちを
 知っていて、した事なのか?
 カヤノは、お前をまだ・・」

「ああ、お前に言われなくても
 知ってるさ、アイツが俺を
 忘れていないことは・・・
 その想いに昨夜、俺は
 甘えさせてもらっただけ
 
 カヤノと、これから
 どうこうなろうなんて
 これっぽっちも想ってない

 男と女、そういう気分
 だったから
 求め合っただけだ」

「お前、それ
 本気で言ってるのか?」