帰り道、芳野は何も話さない。

でも、貴方が何を言いたいのか
私は分かっていた。

だから、貴方が何も話さない
ように、私が一人でいろんな
事を話し続けた。

どうでもいいような事を並べて
・・・・・・

本当は、話すのは
得意じゃないけど・・・

芳野の言葉を聞きたくなかった
から、一生懸命に話した。

「パパが亡くなる前に
 この公園でよく遊んだなぁ
 砂場でお団子を作ったりして
 なつかしい・・・」

「ヒイロ・・・」

「あっ、もうこんな時間
 急がないとドラマ
 始まっちゃう
 早く、帰ろ」

芳野は、さっきよりも
大きな声で私を呼ぶ。

「ヒイロ」

「聞こえてるよ
 
 聞こえてる」